スプリングセッティングで行うプリロード設定について復習しよう

どうも、理屈っぽい偏屈オヤジ、おれです。

 

車高調の醍醐味といえば車高の調整とスプリング変更・調整ですよね。

ハンドリングは前後の車高バランスでも変わるしスプリングレートの変更でも変わって、変更するのは楽しいけど、ハマるとドツボにハマるんですよね。。。

とりあえずスプリングレート算出の参考のために自動計算器作ったんで興味があったらそっち使ってくらはい。
念を押しますが、あくまで参考です。

で、その記事の後段でも書いたんだけど「プリロード」。
これ、意外とわかっているようでわかってない人もいるのかも知れないなー、と思ったのでちょっと説明してみようかと。

プリロードについてオヤッ?と思ったのです

なんでわかってない人もいるかもと思ったかというと、こんな記事をたまたま見たからです。

正解が見いだしにくいが調整する価値アリ! バイクのプリロード調整方法 | 初心者向け | タンデムスタイル

引用1「最初からバネを縮めてショックに取り付けておけば、強いバネの反力を使うことができる。この縮める幅を変えることでさまざまな力や重量に適した調整ができるようになっているのだ」
引用2「プリロードを強めるとバネの反力が強い部分を使うことになるので、またがったときの沈み込みが少なくなる。そのためサスペンションが硬く、車高が高いと感じるようになる。反対にプリロードを弱めて足着き性を改善するという方法もあるけれど、ガツンと底突きしやすくなるので弱めすぎには注意すること」

おいおいおい・・・これじゃあ、プリロードかけるとバネレート上がるみたいじゃないか・・・

プログレッシブ特性のスプリング(巻き数が非等長で、縮みはじめを巻き数を少なくしているスプリング)なのかな?それならまぁちょっと合ってるんだけど、、、

確かに引用2のように、プリをたくさんかけると「沈み込みが少なく」感じたり、逆に弱めると「ガツンと底突きしやすくなる」ようになります。
結果は正しいけど、そこに行きつく理屈が違うんだなぁ~

ここからの話は、直巻きの等長巻きのスプリングを前提にしています。

さて、スプリングレートはバネ定数とも言われる通り、1mm縮むのに何kgかかるか(kg/mm)、またはニュートンメートル(N・m)で表されます。

品質によって過渡的にレートが多少変動してしまうものも存在しますが(苦笑)、基本的に伸びても縮んでも一定のレートを出せるように製造するんですね。
※バネの鉄線同士がくっつきそうになるまで縮んでくると一気にレートは上がります。

だからスプリングレート8kg/mmのスプリングは何mm縮もうが8kg/mmなんですよ。
正直そうあってくれないとまともに車高の計算・調整できない(笑)

結論を言ってしまえば、プリロードはダンパーのストロークの調整をするものです。
ダンパーストロークが100mmあったとして、伸び縮みともに50mmずつ分配するのか、縮みを30mm、伸びを70mm確保するのか、はたまたその逆なのか、そういったものを調整するのです。

プリロードとはその名のとおりプリ=あらかじめ、ロード=荷重、をかけるということなんですね。

スプリングの自由長が100mmあって、完全にスプリングが縮み切った線間密着長さが40mm、線間密着する時の荷重が300kgだと仮定します。
その時のスプリングレートは5kg/mmになりますね。60mm縮むのに300kgかかるので、300割る60です。

そこにプリロード10mmかけるとスプリングレートは?

プリロードかけたのでスプリングの全長が90mmになります。
線間密着長40mmは変わらないので、縮む距離は50mmになります。
当然スプリングが受け持てる荷重は300kgで変わらないので、300割る50で6kg/mm?

違いますね。

プリロード=あらかじめ荷重を10mmかけていますので、5kg/mm×10mm=50kg分の荷重をすでにスプリングが受け持っているので線間密着荷重を300kg-50kg=250kgとするのですね。

だから、250kg割る50mmでやっぱり5kg/mm。
ほらね。レートは一緒。固くならない。

ではなぜ、「沈み込みが少なく」感じるのかというと、あらかじめ10mm分50kg分ダンパーが1G状態でストロークしないようにしている=ダンパーが伸びている、から。

本来縮むストロークが増えていて沈み込み量に対する許容量は増えているのですが、ダンパーが伸びていることで実際車高も上がりますし、プリロードをかける前と同じ荷重をかけて同じだけスプリングは縮んでいても、ダンパーのストロークのスタート位置が10mm伸びた状態がスタートなので、同じストローク位置までダンパーが縮まないからなんですね。

逆にプリロードを減らすと1G状態でダンパーストローク比率の縮み量が減るので、底付きまでの距離が減るので「ガツンと底突きしやすくなる」というわけです。

プリロードがわかるとセッティングの幅が広がる

なので、「プリかけるなんて邪道。ゼロプリが絶対正義!」っていうのは無いですし、「ヘルパースプリングは乗り心地重視で走りのセットじゃない」というのも違うんですね。
むしろ走りのためにヘルパー、テンダー、プライマリーを積極的に使う、というのがスプリングセッティング、ストローク調整で必要なことなんです。

この辺りがわかってはじめてツインスプリング、トリプルスプリングといったマルチレートのセッティングができるようになるわけですが、今回はこの辺で。

ではまた!

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