ここまで、運転という行為をする上で重心軸というものがいかに有用であるかを論じてきた
しかし、その重心から何を感じ取るのかというものが無ければそれを活用する実感に乏しいかも知れない

特に自動車の運転経験に乏しくシミュレータだけに触れている場合は、コンピュータがモニターやステアリングコントローラなどを介して出力してくる様々な情報の取捨選択や精査をするにあたっての事前知識は必要だろう

より実体験を求める場合、もちろんサーキットでスポーツ走行を行うのが望ましいであろうが、例えばレンタルカートでも十分体感できるだろうし、さらにいえばファミリーカーで普段通りの安全運転の中でも体験を深めることは十分可能だ

イントロダクション』で「とりあえずそういうのは脇に置いといて」としていた自動車の知識の解説をするので、「結局既存のドライビング理論と変わらないじゃないか」と思われるかも知れない
しかしこれまでのドライビング理論では、自動車は物理的にこう作動していますのでそれを感じて運転してください、感じ方は各自でどうぞ、というスタンスになってしまっていたところだが、重心軸ドライビングにおいては重心でそれらの情報を統合的に観察する手法を提供するというのが主旨なのだ

アプローチの方向が違うのがおわかりだろうか

既存の自動車工学的な自動車の挙動論からの客観的アプローチではなく、運転者という主観から自動車の挙動を知るためのアプローチなのだ
つまり、これはお互いの理論を否定しあうものではなく、互いに補完しあうものなのである

自動車は数多くの部品で構成され、その全てを網羅するような解説はこの論文の主意ではないため、あくまで重心軸で何を感じ取るべきかという観点から必要最低限、テイスト程度の解説に留める

より知ればより深く重心軸ドライビングを探求できるであろうから、参考図書の情報も載せるのでそちらで調べてほしい

  • タイヤを知る
  • サスペンション形式を知る
  • 重心を知る
  • シャシーセッティングのセオリー
  • 空力を知る

 

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